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日本企業、対ミャンマー案件10件以上 インフラ受注に弾み

Written By site on 2012年9月29日土曜日 | 3:30



民主化の進展で経済発展が見込まれるミャンマーで、日本企業が商談を進めるインフラ案件10件以上が28日までに明らかになった。丸紅や住友商事などによるヤンゴン周辺のガス火力発電所や、東洋エンジニアリングや三井物産などの上下水道整備計画、丸紅と川崎重工業によるセメント工場計画などで、各社ともすでに事業化調査を始めた。
 これまで同国の延滞債務問題により円借款など公的資金の投入が困難だったが、10月に日本で開かれる「ミャンマー支援国会議」で債務問題にめどがつけば、今年度内にも再開する円借款などで商談の進展に弾みがつきそうだ。
 先行しているのが工業団地開発。日本政府は近くミャンマー政府と、ヤンゴン近郊で計画中の2400ヘクタールに及ぶティラワ経済特別区(工業団地)開発について協力覚書を交わす。三菱商事、丸紅、住友商事を中心とする日本連合が計画の青写真をまとめ2015年に一部開業を目指す。
 電力不足解消のため発電所整備も相次ぐ。同国の現在の発電設備容量は最大約160万キロワットで約7割を水力に頼るが、乾期には停電が頻発するのが実情。このため同国政府は15年までに50万キロワット3基の計150万キロワットのガス火力新設を打ち出す。
 発電所計画では、丸紅はヤンゴン市内に加え、近郊のティラワ工業団地向けにも供給できるタケタ火力発電所の改修や新設案件、住友商事も50万キロワット級で工業団地が集積するラインタヤ火力発電所の改修や新設受注を目指し、三菱商事や三井物産も電力案件の発掘に動く。
 このほかにも、事故やトラブルが多発する鉄道網や、人口約600万のヤンゴン市の上下水道整備、車社会への移行をにらみ製油所や橋梁(きょうりょう)新設の案件なども明らかになっている。これらの計画についても商社、プラントメーカーなどが商談準備を着々と進めている。
 ただ、ミャンマー政府はここにきて公共事業で進めてきた電力事業などの民営化方針を打ち出しており、技術力で優勢に立っていた日本勢に黄信号もともり始めた。プロジェクトが民営化されれば、電力や鉄道、セメント工場などの案件には円借款をつけづらくなるためだ。
 同国政府の関連法制の整備の遅れも課題だ。日本政府が今年に入って再開を決めた5億ドル(約390億円)の貿易保険も、同国の政府保証手続きの遅れで難航している。海外勢の攻勢も懸念材料だ。ミャンマー政府などには、韓国や中国企業勢が安価な施設整備をアピールしてアプローチしているという。
 日本勢が国際受注競争で優位に立つには、来月の支援国会議でどれだけ具体的な提案をできるかが当面の鍵となりそうだ。
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