スー・チーさんの温かさ 女学生に掛けた優しい言葉
Written By site on 2012年9月29日土曜日 | 4:30
1990年代半ばごろ、ミャンマーを訪れたことがある。軍政が敵視した国民民主連盟(NLD)を率いるアウン・サン・スー・チーさんがほぼ毎週末、ヤンゴンの自宅前で演説しているのを見るためだった。
スー・チーさんは塀の内側に置かれた高さ数メートルの台に立ち、塀の外に押し寄せた群衆に民主体制の尊さを熱く語りかけていた。路上に座る若者たちが涙を流して演説を聞いていたのを、今でも鮮明に覚えている。
その彼女を先週、ニューヨークで久しぶりに見た。改革を推し進める現政権下で訪米が可能になったためで、名門コロンビア大学で学生との対話集会に臨んだ。深緑色のミャンマーの伝統衣装姿で登壇したスー・チーさん。凛(りん)とした美しさと柔らかな物腰は90年代の姿とほぼ同じだった。
質疑応答では母国が進むべき道を的確に分かりやすく述べたが、印象的だったのは他者への思いやりだった。ある女学生が「(緊張で)質問の途中、まごつくかもしれません」というと、「私も(長期自宅軟禁で)孤立していたから満足に言葉が出てこないのです。謝らなくても大丈夫ですよ」と優しく声を掛けた。民主化実現に向けた鋼(はがね)のような固い信念と、あふれ出るこうした優しさは、ミャンマーのみならず世界中の人々を今後も魅了し続けるだろう。
黒沢潤
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