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<ミャンマー>西部州で非常事態宣言 イスラム教と仏教対立

Written By site on 2012年6月11日月曜日 | 7:22

6月11日(月)22時11分配信
 【バンコク岩佐淳士】ミャンマー西部ラカイン州で多数派の仏教徒と少数派のイスラム教徒の対立が激化している。イスラム教徒によるとみられる仏教徒少女への暴行事件をきっかけに双方の住民が衝突、6月だけで17人が死亡した。テインセイン大統領は10日、州全域に非常事態宣言を発令。騒乱が拡大すれば大統領が民主化と共に進める民族・宗教の「国民統合」が妨げられる可能性もあり、事態収拾を呼びかけた。

 ラカイン州はバングラデシュ国境にあり、仏教徒が9割のミャンマーでは例外的にイスラム教徒も多い。

 5月末に仏教徒の少女がイスラム教徒とみられる集団に乱暴・殺害され、「報復」として仏教徒の集団が6月3日にバスを襲撃し、イスラム教徒10人が殺された。反発したイスラム教徒らが8~9日、仏教徒の民家に放火するなど暴動を起こし、仏教徒ら7人が死亡した。衝突は州都シットウェにも拡大。政府は9日、フラミン国防相を派遣し、治安強化に乗り出していた。

 ラカイン州にはイスラム系少数民族「ロヒンギャ」が住む。国民と認められず迫害され、旧軍事政権時代には多くが難民化した。今回、イスラム教徒が過激化した背景には、そうした「民族問題」もあるとみられる。

 テインセイン政権は少数民族問題の解決に力を入れるが、北部カチン州では少数民族カチン族との戦闘が続くなど実現のめどは立たない。最近の住民デモの原因となった電力不足はカチン族武装組織が鉄塔を破壊したのが一因とされており、「国民統合」が進まなければ、民主、経済改革の実現も難しい情勢だ。
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