ティハ・トゥラ・ティン・アウン・ミン・ウー副大統領
【シンガポール=青木伸行】ミャンマーのテイン・セイン大統領にまつわる3つの“異変”が、取り沙汰されている。大統領は1期(5年)限りで職を辞し、近く保守・強硬派の閣僚を入れ替える意向で、その筆頭である副大統領がすでに辞表を提出した、というものだ。事の真偽と背景、行方が注目されている。
1期説の発信源は大統領顧問のココ・フライン氏。同氏は今月、米ブルームバーグ通信に「大統領はこの任期が完全に成功すれば満足し、民主主義への次の一歩は他の指導者の手に委ねられるだろう」と語った。
アウン・サン・スー・チー氏を党首とする最大野党・国民民主連盟(NLD)が、2015年の総選挙に勝利した場合、大統領は結果を受け入れるとも指摘した。大統領がスー・チー氏に権力を移譲する心づもりであることを示唆したものだ。「軍も選挙結果を受け入れなければならない」とまで述べている。
だが、実際には軍の対応は不透明で、軍は容易に権力を手放さないとの認識も示している。「民主主義をめぐる民と軍との関係は極めて微妙で、権力移譲は政党と軍との関係しだいだ」という発言である。
昨年3月に就任したテイン・セイン大統領は心臓を患い、ペースメーカーを使用しており、就任にも消極的だったという。健康問題も1期説の要因のひとつで、大統領は任期内に民主化と変革を加速させる意向だとみられている。
一方、消息筋によると、保守・強硬派の閣僚はチョー・サン情報相ら5~6人。筆頭がティハ・トゥラ・ティン・アウン・ミン・ウー副大統領だ。タン・シュエ前国家平和発展評議会議長の“子分”で、民主化と変革に不満をもっているという。
その同副大統領は今月3日、保守・強硬派閣僚の入れ替えという観測の機先を制するかのように、辞表を提出した。大統領が受理したかどうかは不明だ。同副大統領は先月末、シンガポールの病院でがんの検査、治療を受けており、辞表を提出した背景には健康問題もあるとみられている。
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