4月25日、西側諸国が相次いで対ミャンマー制裁の緩和に動いたことは、ミャンマーにとって最も重要な投資家であり貿易相手国となっていた中国に、福音と試練の両方をもたらしそうだ。ヤンゴン北方で21日撮影(2012年 ロイター/Soe Zeya Tun)
[北京 25日 ロイター] 西側諸国が相次いで対ミャンマー制裁の緩和に動いたことは、ミャンマーにとって最も重要な投資家であり貿易相手国となっていた中国に、福音と試練の両方をもたらしそうだ。
国際社会から見放されていたミャンマーが民主化に向けた改革や外国との関係樹立に動きだしたことから、米国、欧州連合(EU)、日本、カナダ、オーストラリアがこの数週間に相次いで、ミャンマー制裁の緩和や一時停止を発表した。西側諸国からの投資が止まっている間に、中国はミャンマーの最大の同盟国となり、水力発電用のダムや石油・ガス輸送パイプラインなどのインフラプロジェクトに投資してきた。
しかし、日米欧の企業が参入に向けて手ぐすねを引いており、これまで競争を免れてきた中国企業は衝撃に見舞われかねない。ミャンマーで操業する中国・雲南省の鉱業会社のマネジャー、Wei Jijian氏は「中国企業にとって、ミャンマーと長い国境を接する雲南省に拠点を構え、制裁を心配しないでよいのは素晴らしいことだった。ところが英米企業があちこちに出没するようになり、彼らが本格的に進出してくれば中国企業にとって厄介な事態になる」と話した。
中国国有資産監督管理委員会系の雑誌「エナジー」は最近のサイトでミャンマーの民主化をめぐって同国の中国離れに言及し、エネルギー関連企業にとっては大きな試練になるだろうと分析した。「ミャンマーの指導者の一部は、日用品から戦略的な資源に至るまで中国への依存度が高すぎるとみており、このことはミャンマーの国際的なイメージや政治的、経済的な安全保障の面でも良くないことだと考えている」とし、「この問題に対処する適切な方法は、ミャンマーと中国がある程度距離を置き、他の大国をこれまでより近付けることだ」と指摘した。
ミャンマーのテイン・セイン大統領は昨年、中国企業が資金を用意し建設に当たってきた経費36億ドルの水力発電用ダム「ミッソンダム」について、市民の反対運動を受けて建設中断を打ち出している。
<透明性は向上か>
中国はミャンマーに米国の包囲網に対する防波堤の役割を期待してきた。中国の2010/11年度(10年4月─11年3月)の対ミャンマー投資は140億ドル強に達し、外国直接投資額(成約ベース)は前年度の3億ドルから200億ドルに激増している。
中国はミャンマーへの影響力がどうなるか懸念を抱いている。その一方で中国企業の幹部は、改革によってミャンマーの汚職や煩雑な事務手続きが減り、規制と行政が公平なものになることを期待している。ある中国の石油会社の幹部は「中国は何年間も(ミャンマーの)市場を独占してきたが、これは必ずしも良いことではなかった。投資の中には実を結ばなかったものもあった。透明性が高まれば、中国企業は潜在的な投資機会に対し、もっと客観的な見方をするようになるだろう」と話した。
中国企業の間には欧米企業との競合を心配する声もあるが、実際には、最初に参入するのは日本や韓国の企業のようだ。日本企業は以前からミャンマーで事業を行っており、ティワラ経済特区の青写真作成も日本が支援している。
インターナショナル・クライシス・グループの北東アジア担当ディレクター、ステファニー・クラインアルブラント氏は「日本は融資再開や債務削減などにより既に支援を再開しており、投資に関する結び付き強化を狙って大量の訪問団を送り込んでいる。アジア地域レベルで競争が激化する可能性が高く、日本とおそらくは韓国からの投資が欧米諸国よりずっと早く実行されるだろう」と述べた。
(Ben Blanchard記者)
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