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<ミャンマー>電力インフラ整備 日本政府が支援本格再開

Written By site on 2012年4月22日日曜日 | 2:40

4月22日(日)16時36分配信

 日本政府が21日に発表したミャンマー支援の本格再開は、テインセイン政権が進める「貧困撲滅」や「民主化」の動きを後押ししそうだ。この国は長く、国連が指定する「最貧国」にとどまる。アウンサンスーチー氏率いる民主化運動は生活改善への要求とも連動し、「貧困撲滅」と「民主化」は表裏の関係だ。このため、日本の支援強化が「貧困撲滅」に寄与すれば、一層の「民主化」につながる可能性がある。

 昨年3月の民政移管に伴い誕生したテインセイン政権は「貧困撲滅」を最優先課題の一つに掲げている。「貧困」を解消していくことで、これまでの民主化運動の高揚につながった国民の不満を解消したい狙いもある。

 ミャンマーは60年代まで、経済面で「(今や成長著しい)タイをしのぐ経済力」(津守滋・元駐ミャンマー大使)だった。日本デパートの最初の東南アジア進出国はミャンマーで、当時の首都ラングーン(現ヤンゴン)の国際空港はハブ(拠点)空港だった。

 その経済を支えた一つが、日本の戦時賠償に始まる経済支援だ。今もミャンマーの電力供給の約2割を賄うバルーチャン水力発電所の建設は、日本の政府開発援助(ODA)のモデルになった。今回再開する円借款は、この発電所の改修にも充てられる。

 だが、軍事クーデター(62年)で成立したネウィン政権が事実上の鎖国政策を採用したことで経済が極度に悪化、88年以降の民主化運動につながる。

 長い軍政下、関係を強めた中国以外の外国支援は事実上途絶えた状況となった。今や、生活改善だけでなく、産業の育成、外国企業の誘致に向けても、電気や上下水道、道路といったインフラの整備は不可欠だ。

 特に電力については、ヤンゴンでも最近まで日常的に停電が続いた。ミャンマーは近年、天然ガスの開発を急ピッチで進めてきたが、米欧の制裁下、貴重な外貨獲得源として大半はタイや中国向けで、国内供給は限られてきた。

 国民の間に「資源に恵まれながら『最貧』に甘んじ、しかも資源を外国に奪われている」との認識が広がり、電力問題はその象徴でもあった。

 こうしたこともあり、テインセイン政権は昨年9月、北部州で中国が自国向けに開発していた水力発電用の巨大ダムの建設について、「国民の反対が強い」と中断を発表した。国際社会が「ミャンマーの改革は本物」との認識を強める契機になった出来事だ。予定地一帯は少数民族の居住地域で、住民は立ち退きを強いられ、環境破壊につながると反対運動を起こしていた。

 テインセイン政権は、「独立」や「自治」を掲げて武装闘争を続ける少数民族の問題にも直面しているが、「少数民族問題は突き詰めれば経済の問題」(ヤンゴン外交筋)でもある。再開する日本の支援は少数民族地域にも重点的に向かう。

 ただ、日本の途上国援助は環境破壊、汚職、貧富の格差など、さまざまな「負の遺産」を残した経緯もあり、慎重に進めないと、むしろ逆効果をもたらす可能性がある。【春日孝之】
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