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<米国>対ミャンマー制裁を全面解除へ メディアなど懸念

Written By site on 2012年10月3日水曜日 | 2:19



オバマ米政権が対ミャンマー制裁の全面解除に向けて動き出したことに対し、米メディアや民主化運動の支援組織が懸念を深めている。民主化が不十分な現時点で制裁を全面解除すれば、ミャンマー政府に改革を迫る手段が失われ、改革が停滞・逆行する可能性が拭えないからだ。

 米国の対ミャンマー制裁は90年以降、五つの米国内法と四つの大統領令に基づいて段階的に強化されてきた。内容は、(1)米企業・個人の新規投資の禁止(2)ミャンマーへの金融サービス提供禁止(3)ミャンマー産品の米国への輸入禁止(4)米国管理下にあるミャンマー政府の資産凍結(5)ミャンマー高官の渡航・ビザ発給制限(6)援助停止--など多岐に及んだ。

 オバマ政権は2月以降、段階的な制裁緩和に着手し、7月には新規投資と金融サービス提供を解禁。クリントン国務長官は9月26日、国連総会のため訪米したテインセイン大統領に「ミャンマー産品の輸入禁止」を解除する用意があることを伝えた。輸入解禁が実現すれば、両国の経済関係はほぼ完全に正常化され、改革に抵抗する一部の軍高官に対する制裁を除けば、約20年続いた対ミャンマー制裁は事実上終結する。

 こうした動きに対し、在米ミャンマー人らで作る民主化支援団体「ビルマのためのキャンペーン米国」は9月27日、制裁の全面解除に反対する緊急の声明を出した。声明は今も約300人の政治囚が存在することや、国軍の特権を保障した法体系の存続を挙げ、オバマ政権の方針に「深く失望している」と危機感をあらわにした。

 一方、米紙ワシントン・ポストは29日付の社説で、ミャンマーでは今も軍人らが実権を握っていると指摘。改革の行方が不透明であることに懸念を示した。

 ただ、米企業の対ミャンマー進出を後押ししたい政権、議会とも制裁の早期全面解除に向かって進んでおり、こうした懸念がかき消されているのが実情だ。
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