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カンボジアの社会問題を解決 3カ国の学生参加 ビジネスコンペ

Written By site on 2012年8月22日水曜日 | 7:27



カンボジア、ミャンマーと日本の3カ国の学生によるビジネスプランのコンペが12日、プノンペンで開かれた。カンボジアで展開する「社会的ビジネス」のアイデアがテーマで、3カ国から20人の学生が参加した。

 コンペを主催したのは、カンボジアで社会的投資を行っている日本企業のアルン(東京都千代田区、功能聡子代表)。同社は、主に貧困対策に取り組みながら 自立的な経営をしている企業に投資をしている。昨年に続いて2回目となる今回のコンペでは、カンボジア社会の問題を探し出し、その解決策となるビジネスプ ランを競った。功能代表は開催の目的について「コンペを通して、社会的投資への理解を深めると同時に、将来の社会起業家を育てたい」と語る。

 ◆学校用バス普及など

 参加者は5チームに分かれ、カンボジアで1週間をかけてフィールド調査やプレゼンテーションの準備をし、専門家からの助言を受けて本番に臨んだ。学生た ちが選んだ5つのテーマは「ごみを利用した飼料製造」「再利用できる衛生的な生理用ナプキン」「学生向け少額ローン」「地方農村活性化のための果樹園観光 ツアー」「公立学校のスクールバス普及」。

 優勝したのは、公立学校の児童・生徒向けのスクールバス普及ビジネスを提案した「チーム5」。カンボジアの私立大学でビジネスやマーケティングを学ぶ女 性2人と、日本の大学で開発経済を学ぶ男性2人のチームだ。カンボジアでは、首都プノンペンでさえもバスや電車といった公共交通機関がなく、一部の私立学 校を除き、子供たちは家族が送迎している。また、急速な交通量の増加で事故も多いことから、スクールバスの普及が「安全性、家族の負担の軽減、交通渋滞の 解消、環境への配慮につながる」と指摘した。

 「チーム5」の4人は、実際に学校の周辺で聞き取り調査を行い、約9割の人がバスの導入に賛成であることを把握した。また、資金3000ドル(約23万 8000円)からスタートし、「最初は1つの公立学校で試験的に始め、宣伝や口コミによる評判を徐々に広げ、5年でプノンペン全土に広げる」と計画した。

 日本から参加した国際基督教大学の庄司友さんと吉松寛人さんは、カンボジアに来る前から電力供給や交通などインフラ開発に関心があった。「ただ、テーマ が大きすぎて具体的なビジネスに結び付けられなかった」という。だが、カンボジアから参加したホイフイ・ライさん、キムホー・ホンさんから、「両親がいつ も私たちの学校の送迎に時間をとられると話していた」との体験談を聞き、テーマを絞り込むことができた。

 ◆現地調査を重視

 今回のコンペの特徴は、フィールド調査の日程を昨年よりも増やしたことだ。机上の空論にせず、実際に現場の人々に会って社会的企業とは何かを考えさせた。

 コンペで2位になった「果樹園観光ツアー」の提案者、東京大学の小林泰紘さんは、カンボジアで食べた果物のおいしさに感激したことが発想の原点だった。 最初は農家の収入増のために、果物を国外へ輸出することを考えたが、フィールド調査でそれ以前に国内の流通の仕組みに課題があることに気づいた。

 「みんなが情熱を持ってプラン作成に取り組むには、実感や実体験が不可欠だと思った。現場で見て、学んだことがたくさんあった」と小林さんは言う。

 また、コンペには初めてミャンマーの大学生2人が参加した。農村の貧困女性たちを対象に開発するという「再利用可能な生理用ナプキン」を提案したチーム のマリー・ミンさんは「ミャンマーではまだ社会的ビジネスという考え方が浸透していない。もっと勉強して、ビジネスが社会問題の解決に取り組むことができ る事例を作っていきたい」と話した。

 ビジネスコンペは、日本の援助で設立されたカンボジア日本人材開発センター(CJCC)が協力、東京三菱UFJ財団の助成で実施された。入賞チームには、同センターで行われる起業家コースを受講できる副賞が贈られた。

(在カンボジア・ジャーナリースト 木村文)
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