3月末にオープンしたショッピングセンター「ジャンクション・スクエア」 =ヤンゴン市内(写真:産経新聞)
【ネピドー=青木伸行】民主化と変革が進むミャンマーは、新しいショッピングセンターがオープンし、首都ネピドーでは東南アジア競技大会を来年に控えて競技場やホテルの建設ラッシュとなるなど、活況を呈している。
最大都市ヤンゴン市内の中心部には3月末、ファッショナブルなショッピングセンター「ジャンクション・スクエア」がオープンした。
総売り場面積は約2万7900平方メートル。中に入ると、ファッション、化粧品、宝飾品、情報通信機器、電化製品の各ショップや、スーパー最大手のシティマートなどが出店し、映画館も2つある。市内最大規模の商業施設で、レストランが訪れた人々の空腹を満たし、おしゃれなカフェが若者たちの憩いの場となっていた。
CDショップには、ミャンマーのシンガーやバンドの最新作が並んでいる。ミャンマーでは米国のポップスやロックも人気で、トレンドはラップだ。
ヤンゴンから車でハイウエーを5時間ほどの首都ネピドーでは、東南アジア競技大会を来年に控え、競技場とホテルの建設が急ピッチで進められている。街のあちらこちらに、競技大会の広告塔が建てられ、コンクリートミキサー車などが土ぼこりをあげていた。
ミャンマーは2014年に、東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国を務める。首脳会議などがネピドーで開かれることになり、ホテルはその受け皿でもある。
国外からの投資が増え、経済特別区と工業団地の開発も進められている。外国のビジネスマンと観光客も増え、ヤンゴン市内のホテルはどこも満杯だ。民主化と変革の好影響は、“外国人ラッシュ”に最もよく表れているといえるだろう。
ミャンマーのホテル・観光省によると、11年のビジネスマンを含む外国人観光客は81万6369人。これは5年前の06年(約63万人)の1・29倍だ。10年の約79万1000人に比べても、3%ほどアップした。
いきおい観光収入も増えている。昨年は3億1900万ドル(約255億円)で、前年(2億5400万ドル)の約1・26倍。観光客1人当たりの支出も、10年の平均102ドルから120ドルに伸びている。
観光客のうち、統計上はビジネスマンが21%。今年に入り、ビジネスマンが急増しているようで、ヤンゴンのダウンタウンにあるトレーダーズホテルのスタッフは、「ゲスト(宿泊客)の5割はビジネスマンです」と話した。
観光客を国・域別にみると、やはりアジアが66・39%と最も多く、(1)中国15・85%(2)タイ15・77%(3)マレーシア5・95%(4)韓国5・76%(5)日本5・45%-などの順だ。欧州は20・68%で、フランス4・96%、ドイツ3・58%、英国2・83%となっている。北米は6・48%で、米国が5・54%と大半を占める。
外国からのホテル投資も旺盛だ。現在、外資系は5145室で、これまでの投資総額は、約8億5500万ドル。加えて約2億8800万ドルをかけ、1415室が新たに建設されている。
国・地域別の投資内訳は(1)シンガポール12件(投資総額約5億9700万ドル)(2)タイ11件(2億6300万ドル)(3)日本6件(1億8300万ドル)(4)香港4件(7700万ドル)(5)マレーシア2件(2000万ドル)(6)英国1件(340万ドル)-などだ。
それでも、「ホテルの数が足りず、急増する観光客に対応できない」(トレーダーズホテル)という状況にあり、外国資本によるホテル建設が今後、ますます活発になりそうだ。
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